顎変形症とは、大きく長いあごで受け口、小さいあごで出っ歯、あごの変形による顔の左右非対称など顎のずれに歯並びの不正が加わることで著しい咬み合わせの異常と顔面の変形が起こっている病気です。
原因は、遺伝的要因(家族歴)が強いとされています。一方、指しゃぶり・口呼吸などの悪習慣、外傷、先天性疾患(唇裂・口蓋裂など)顎関節症も関与するとされ、あごの成長に影響するため思春期に明らかになることが多いとされています。
顎変形症は、歯並び(歯科矯正)治療だけでは完全な治療が困難で、あごの手術を組み合わせた外科的矯正治療(外科矯正)が必要となります。
顎口腔機能診断施設の歯科医師より顎変形症と診断された場合は、歯科矯正治療および顎矯正手術にも健康保険が適用されます。
顎変形症は、東京医科歯科大学(現東京科学大学顎顔面矯正)、東京大学(口腔顎顔面外科・矯正歯科)で特に専門分野として診療してまいりました。病気や治療の理解を深められるようにご相談をさせていただきます。
当日、まずお口などの状態を見させていただきます。この時、状況をより正確に把握しご説明するために写真を撮影させていただく場合もございます。
顔や口の写真撮影および必要なレントゲン写真撮影を行います。歯型を採ります。さらに、顎機能検査を行います。
検査の結果など資料をもとに、現在の状態と治療後の予想される結果をお話します。また、予想される治療期間、治療にかかわる注意点などをご説明します。
その後、顎矯正手術を受ける病院を受診いただき、骨切り手術について詳しく説明していただきます。※以下の施設から紹介受診された患者さまも当院からの資料をもとに精査していただきます。
骨切り手術をお受けいただく病院:
医療連携施設の紹介(一部、順不同)
東京大学附属病院 星教授
東京女子医科大学病院 古賀教授
東京医科大学病院 近津教授
自治医科大学大宮医療センター 安部教授
国際研究医療センター病院 丸岡先生
東京科学大学 加持教授(院長の同級生)
顎矯正手術を行う病院で顎変形症であると診断されたのち、矯正歯科クリニックで術前矯正治療が開始されます。主にマルチブラケット装置を用います。
矯正治療により上下顎それぞれの歯ならびを整え、手術をした時に上と下の歯が咬む状態にします。
(術前矯正治療は6か月~1年以上)
顎矯正手術のため入院が必要です。最近では、手術前日に入院するなど、患者さんの負担を少なくするよう配慮される所もあります。
(入院期間は、1週間程度)
一般的に術前矯正治療が終了した時点で顎矯正手術が行われます。手術時期は身体の成長、顎の伸びが止まる時期以降で、個人差がありますが、概ね男性では17~19歳、女性では16~18歳以降になります。
顎矯正手術は、上顎や下顎の骨切り手術によって咬み合わせと容貌を正しく整えます。手術は全身麻酔のもとで口の中から行います。よってお顔に手術痕が残ることはありません。
上顎ルフォー1型+仮骨延長法、下顎SSRO
手術後1年でプレート撤去
手術後の矯正歯科治療を行います。あごや歯並び、歯の咬み合わせを調整します。
当院の連携病院では、できる限り顎間ゴムを使用しない試みを行っています。
上下の歯を緊密に咬み合わせるため、1年程の術後矯正治療が必要となります。
歯を動かす治療が終わり装置を撤去した直後から1~2年は歯並びが乱れやすい時期です。それを防ぎ、きれいに整った歯並びの維持管理を行います。
受け口が特徴です。下顎が長く大きく前へ張出し、歯の咬み合わせが反対になっています。また、下顎が左か右にずれていることが多くあります。
(骨格性下顎前突、反対咬合)
骨格性下顎前突症例 初診時と保定開始時の比較です。
主訴:受け口、かみ合わせが悪い。
症状:下顎前突(下顎が大きい)、反対咬合、叢生
下顎切歯と上顎左側小臼歯先天欠損
マルチブラケット装置とアンカースクリューを用いた。
手術:下顎SSRO
期間:動的治療は2年2か月。保定管理期間は2年。
費用:健康保険の適用
※矯正治療に伴うリスクとして歯根吸収、知覚過敏、治療中に顎関節症状が出ることがあります。
著しい出っ歯、前歯が咬み合わない方は、下あご自体が特に小さいことによって悪い歯並び・咬み合わせの原因になることがあります。顔立ちは小顎、あごが無いと訴える方もいます。
(上顎前突、下顎後退、開咬)
主訴:以前矯正治療を受けたが前歯がかみ合わない。
下顎がない。
症状:口元の突出、開咬、下顎の後退を認める。
治療および手術:
上顎 前歯部歯槽骨切り 下顎 SSRO
マルチブラケット装置とアンカースクリューを用いて上顎歯列の上後方移動を行った。
動的矯正治療は2年、保定管理期間は2年。
出っ歯、前歯が完全にすれ違う場合は、下あごが小さく上あごが比較的大きい場合など顎のアンバランスが原因です。矯正治療のみでは治すことが難しく外科矯正の適応と考えられます。
(上顎前突、過蓋咬合)
ガミー、口ゴボ、過蓋咬合が改善しています。
主訴:前歯が出ていてかみ合わない。
症状:上下顎の不調和、過蓋咬合、上顎前歯の突出
下顎左側第二小臼歯の先天欠如を認める。
治療および手術:
上顎 Le FortⅠと前歯部歯槽骨切りの2分割法
下顎 SSRO オトガイ形成
マルチブラケット装置、アンカースクリューを用いた。
動的矯正治療は2年 保定管理期間は2年。
出っ歯で前歯の歯茎が目立つ場合は、上あごの前方部分が比較的大きいことが原因として考えられます。
(上顎前突、口ゴボ、ガミー)
口ゴボとスマイル時の口角の左右差が解消されました。
主訴:ガミースマイル、口ゴボ、顎がない。
症状:上顎前歯の突出、下顎後退(顎が小さい)
治療および手術:
上顎 Le FortⅠと前歯部歯槽骨切りの2分割法
下顎 SSRO
智歯および小臼歯抜歯、マルチブラケット装置とアンカースクリューを用いた。
動的矯正治療は2年、保定管理期間は2年。
骨格性の開咬(open bite)は、上下顎骨の形態異常によっておこります。中学生ごろに自覚されることが多く、文字どおり歯と歯が咬み合わない状況です。
治療および手術:
治療開始から7か月 手術後3週
上顎 Le FortⅠ 下顎 SSRO
マルチブラケット装置、顎間ゴムを用いた。
開咬、顎の歪みと咬合のずれの症例です。
治療および手術:
埋伏歯の抜歯後、金属アレルギー対応矯正器具にて矯正治療を行った。
下顎SSROにて顎矯正手術施行。
動的矯正治療2.5年 保定管理期間は2年。
下顎や上顎のずれによって顔の左右非対称が生じ、咬み合わせも上あごの歯並びと下あごの歯並びに大きなずれがおこります。
顔面非対称(下顎の右方偏位)症例 初診時と保定開始時の比較です。
主訴:顔が曲がっている。かみ合わせがおかしい。
症状:顔面非対称(骨格性下顎前突、下顎骨の右方偏位)
反対咬合、八重歯、叢生、カント
治療および手術:
マルチブラケット装置と上顎ルフォー1型、下顎SSROによる外科的矯正治療
動的治療期間は2年6か月。保定期間は2年。
※当院は、すみやかに術前矯正治療を終えることで治療期間全体の短縮を図っています。そのためには、外科医との綿密な連携、患者さんの協力が不可欠です。また、👉インプラントアンカーの保険導入によって、従来に比べ治療期間、手術、矯正治療の患者負担が軽減されてくると思われます。保険診療であってもサージェリーファースト的に治療が行えます。
術前矯正治療期間を短くする治療方法(サージェリーファースト)も可能です。
👉 サージェリーファースト 自由診療です。