顎変形症について

顎変形症とは、大きく長いあごで受け口、小さいあごで出っ歯、あごの変形による顔の左右非対称など顎のずれに歯並びの不正が加わることで著しい咬み合わせの異常と顔面の変形が起こっている病気です。

 

顎変形症は、歯並び(歯科矯正)治療だけでは完全な治療が困難で、あごの手術を組み合わせた矯正治療が必要となります。

 

あごのずれ、咬み合わせが悪いことは、健康を損ねる可能性があるばかりでなく、気持ちの面で患者の負担となることもあります。


 


顎変形症は、東京医科歯科大学(顎顔面矯正)、東京大学(顎口腔外科・歯科矯正歯科)で特に専門分野として診療してまいりました。顎変形症は治らない病気ではありません。正しく向き合うために、病気や治療の正確な理解をえていただくために、顎変形症の外科的矯正治療についてのご相談をさせていただきます。

文京ながはま矯正歯科 Tel 03-3868-0770

 

ここでは、顎変形症の外科的矯正治療、顎変形を早く治す方法サージェリーファースト、また健康保険、外科矯正の期間・費用など記載しています。

 

 

顎変形症治療の主な目的は、上下の顎の不調和と咬み合わせを治すことです。外科的矯正治療(外科矯正)を行なうことにより、咬み合せが良好となり食物がよく咬めるようになる、口もとや顔の形が改善されるといった効果が見込まれます。また、虫歯や歯槽膿漏(歯周病)の予防や上下顎骨の不正が改善されることにより良い歯の環境が保たれる効果が見込まれます。

 

下顎が大きい(下顎前突、反対咬合)

受け口が特徴です。下顎が長く大きく前へ張出し、歯の咬み合わせが反対になっています。また、下顎が左か右にずれていることが多くあります。

(骨格性下顎前突、反対咬合)

 


下顎が小さい(下顎後退、上顎前突)

著しい出っ歯、前歯が咬み合わない方は、下あご自体が特に小さいことによって悪い歯並び・咬み合わせの原因になることがあります。顔立ちは小顎、あごが無いと訴える方もいます。

(上顎前突、下顎後退、開咬)



上顎が大きい(上顎前突、過蓋咬合)

出っ歯、前歯が完全にすれ違う場合は、下あごが小さく上あごが比較的大きい場合など顎のアンバランスが原因です。矯正治療のみでは治すことが難しく外科矯正の適応と考えられます。

(上顎前突、過蓋咬合)



顔面非対称(あご、咬合のずれ)

下顎や上顎のずれによって顔の左右非対称が生じ、咬み合わせも上あごの歯並びと下あごの歯並びに大きなずれがおこります。

 


顔の左右非対称

顎の偏位

交叉咬合

 

顎変形症治療の方法

【外科的矯正治療】 顎変形症の治療(外科矯正)は、あごの骨切り手術前に行う術前矯正治療、骨切り手術後に行う術後矯正治療、良好な咬合が得られた後にそれを保つために行う保定治療に分かれます。

 


【術前矯正治療】 術前矯正治療では、顎切り手術の前に矯正歯科治療により歯を移動させ、上下顎それぞれの歯ならびを整え、手術をした時に上と下の歯が咬む状態にします。その後、顎を移動させる手術をします。術前矯正治療は6か月~1年以上を要します。

 


【顎矯正手術】 一般的に術前矯正治療が終了した時点で顎矯正手術が行われます。手術時期は体の成長、顎の伸びが止まる時期以降で、個人差がありますが、概ね男性では17~19歳、女性では16~18歳以降になります。

 


【術後矯正治療】 手術が終わったあとも、手術後の顎の位置の変化に対応し、上下の歯を緊密に咬み合わせるため、6か月ー1年程の術後矯正治療が必要となります。

 


【保定】 矯正歯科治療が終わり矯正装置をはずした後、きれいに治った歯ならびをその位置に落ち着かせる保定治療が必要となります。



※ 当院では、可及的すみやかに術前矯正治療を終えることで治療期間全体の短縮を図っています。そのためには、外科医との綿密な連携、患者さんの協力が不可欠です。また、インプラントアンカーの保険導入によって、症例によっては、従来に比べ治療期間、手術、矯正治療の患者負担が軽減されてくると思われます。保険診療であってもサージェリーファースト的に治療が行えます。

 

現在、インプラントアンカーを用いて顎変形症の外科矯正治療を開始されている方の進行状況をみると明らかに治療が早くすすみ、また以前だと抜くことになった思われる歯を抜かずに治療できるようになっています。

 


【サージェリーファースト】 術前矯正治療期間を短くする治療方法(サージェリーファースト)をとる事も可能です。サージェリーファーストとは、
顎矯正手術を矯正歯科治療より先に行う治療方法です。術前矯正治療期間を最小限に抑えるため、症例によっては全ての治療が終了するまでの期間が短くなることがあります。また、治療開始後すぐに手術を行うため早期に見た目が改善します。この治療は健康保険が不適用のため矯正治療費、手術費とも自由診療となっています。

サージェリーファーストの当院での矯正費用は、概ね80‐100万円程度です。

外科手術費用は、症状、手術方法、またクリニックにより異なります。

連携医院のご紹介(リラ・クラニオフェイシャルクリニック、東京医科大学病院ほか)

 

顎変形症治療の流れ

1.初診相談

当日、まずお口などの状態を見させていただきます。この時、状況をより正確に把握しご説明するために写真を撮影させていただく場合もございます。顎矯正治療についての全体の流れや手術、また矯正装置および治療期間・費用をご説明します。

 

2.精密検査

顔や口の写真撮影および必要なレントゲン写真撮影を行います。歯型を採ります。さらに、顎機能検査(あごの動きや、筋肉のバランスを診査)を行う場合もあります(顎変形症の患者さんは必ず行います)。


3.診断

検査の結果など資料をもとに、現在の状態と治療後の予想される結果をお話します。また、使用する装置、予想される治療期間、治療にかかわる注意点などを詳しくご説明します。 

(顎口腔機能診断)

 

当院で診断した後、顎矯正手術を行う病院を受診していただきます。


4.歯を動かす治療(手術前の歯の矯正)

顎矯正手術を行う病院で顎変形症であると診断されたのち、矯正歯科クリニックで健康保険のもと術前矯正治療が開始されます。
(おおよそ月に一度、30分から1時間程度です)

 

5.顎矯正手術(骨切り手術)

顎矯正手術のため入院が必要です。最近では、手術前日に入院するなど、患者さんの入院負担を少なくするよう配慮される所もあります。

(入院期間は、おおよそ1週間程度です。)


6.歯を動かす治療(手術後の歯の矯正)

顎矯正手術後の矯正歯科治療を行います。あごや歯並び、歯の咬み合わせを微調整します。
(おおよそ月に一度、30分程度です)


術後矯正治療が終了し矯正装置を撤去した様子。(下顎前突症例)


顔面非対称(下顎骨の右方偏位) 初診時と保定開始時の比較です。

 

7.保定(後戻りを防ぐ)

歯を動かす治療が終わり装置を撤去した直後から1~2年は、正しく整えられた歯並びが乱れやすい(後戻りを起こしやすい)時期です。それを防ぎ、きれいに整った歯並びの維持管理を行います。 

 

外科的矯正治療に用いる装置

ダイレクト ボンディング システム

 

表側矯正(治療に用いる一般的な矯正装置、保険診療)
 

顎変形症の矯正治療には、審美性に考慮したマルチブラケット装置を用います。

 

矯正用インプラント(スクリュータイプ)


ミニスクリュー/アンカースクリュー/ネジ


H26年より矯正治療に用いられるアンカースクリュー(小型のネジ)が保険導入され顎変形症の矯正治療にも使えるようになりました。自由診療で行う一般矯正では10年以上前から用いているもので確実な固定源となることから有効的な活用は効率的で短期間に歯を移動させることが可能となります。また、今までできないような歯の移動、外科手術の負担軽減などさまざまな効果が期待されます。


矯正治療で用いるスクリューは小さなものです。

4mm~8mm位の長さのものを用います。



顎変形症の治療費

健康保険の適用

現在、顎変形症と診断された場合には、外科矯正にかかわる矯正歯科治療、抜歯および手術には健康保険が適用されます。


矯正歯科治療費は健康保険の適用により、ご自身の負担はおよそ20-30万円位です。また、口唇口蓋裂の患者さんで発音、そしゃく障害が認められる方は育成医療による治療も可能です。

 

顎矯正手術は、保険適用ですが、受けられる手術の種類、入院中のベッド代によってかかる費用がことなります。およそ20-30万円です。しかし、現在は、以下に記す高額療養費制度によって一時的にかかった費用は、限度額を超えた分が請求すればすべて払い戻しが受けられます。

 

高額療養費

高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。70歳未満の方で、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」を提示する方法が便利です。

負担方法を説明した表の画像

全国健康保険協会ホームページより

顎外科(顎矯正)手術

顎矯正手術とは、上顎や下顎の骨を手術によって移動(骨切り術と呼ばれます)することによって咬み合わせと容貌を正しく整える治療と言えます。手術は全身麻酔下で行い、ほとんどは口の中から行います。よってお顔に手術痕が残ることはありません。

 

下顎骨骨切り術

a.下顎枝矢状分割術

b.下顎枝垂直骨切り術

c.下顎前歯部歯槽骨切り術(Köle法)

d.下顎骨体部分切除術


オトガイ形成術

オトガイ部の骨を、移動したり、削除したりする方法です。オトガイ部の突出感あるいは後退感、左右非対称が上記の手術を施行しても改善しない場合には、この手術を行う場合があります。


上顎骨骨切り術

a.Le Fort Ⅰ型骨切り術

b.上顎前歯部歯槽骨切り術

臼歯の咬み合わせが正常で、上顎前歯部に著しい不正があり、歯科矯正治療単独では治療が困難な場合にこの手術を行います。

 

プレート除去手術


一般に骨が癒合するまでの期間は下顎の骨で4~6週、上顎の骨で6~8週と言われています。したがって、骨の固定期間はそれを上回る日数が必要です。骨を固定したミニプレートは通常、下顎では手術後6ヶ月以降、上顎では術後1年を経過したところで抜去します。この場合も、入院、全身麻酔での手術が必要です。つまり、手術後1年を過ぎ、矯正器具がはずれた後にプレートやネジを除去する方が多いことになります。

 

プレートの抜去をしない方もいます。

 


初診お問い合わせ
☎03‐3868‐0770