歯科矯正治療、見えない矯正、インプラント矯正、治療費用や期間について、矯正歯科の専門クリニックでの工夫、不正咬合(叢生、受け口、出っ歯、開咬ほか)の種類、こども小児治療開始のタイミング、健康保険適用の外科矯正(顎変形症)や口唇口蓋裂など先天異常疾患についても紹介しています。
矯正歯科治療について
不正咬合
■叢生(八重歯、乱杭歯)
前歯が生えかわり始める7、8歳で前歯の凸凹(叢生)に気付きます。習癖などがなく、叢生の程度が軽いと判断されるものは、大概、永久歯と乳歯が完全に生え変わった後に治療を開始することが多いでしょう。しかし、歯の重なりやねじれが大きな場合では、前歯4本程度が生え変わった時期に、前歯から歯を並べる(第一期治療)治療を行うのが良いでしょう。叢生を改善するためには永久歯を抜かなければならない可能性もあります。歯の生え変わりの時期は個人差がかなり大きいため、矯正治療の開始年齢はその方によって異なってきます。
■上顎前突(出っ歯)
上顎の前歯4本が乳歯から永久歯に生え変わった頃にはっきりわかってきます。もし顎の骨の大きさに問題がある場合には、この段階で治療を開始することが多いでしょう。歯並びの治療として、上顎の成長を抑制したり、下顎の成長を促進する装置を用いて骨格的な不正を改善していくことを行います。
■反対咬合(うけ口、下顎前突)
お子さんの反対咬合が最初にはっきりしてくるのは大体2~3歳くらいで、3歳児検診のときに指摘を受けることがあります。ただし、乳児の段階で反対咬合でも永久歯は反対にならない場合もあります。永久歯の反対咬合の場合は、早期の治療による改善が望まれます。これは、前歯の関係を正常にすることで、上顎と下顎の調和がとれるためです。ただ、歯の傾きだけの問題、顎の大きさの問題、その複合など原因はさまざまで、それにより治療の方法も異なってきます。また、下顎の成長が終わる時期(高校生位)まで治療が継続する場合もあります。特にあごの著しい過成長・劣成長が起きる場合(顎変形症)には、外科手術が必要となることもあります。
■開咬
咬んだ状態でも上下の前歯が咬み合わないような場合を開咬と言います。原因は、指しゃぶり、舌の癖のほか顎の形や大きさに問題がある場合など様々です。もし、指しゃぶりなど何らかの癖がある場合にはできるかぎり早期に改善することが望ましいと考えられています。また、骨格の問題が内在している場合は、成長に伴って徐々に現れ段々と咬み合わせが悪くなる場合がありますので成長が終了するまでは咬み合わせの観察を続けることが大事になります。
治療の目的
矯正歯科治療の目的は、歯ならびや咬み合わせの改善、二次的な効果として虫歯や歯槽膿漏(歯周病)の予防、健全な成長発育が挙げられます。
また、口元の改善により健康的で美しくなることにおいても大きな価値があります。
矯正歯科治療に伴う一般的な副作用
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。
⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。
⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。
⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。
⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
(日本矯正歯科学会)
顎関節症と不正咬合
顎関節症は、現在でも不明な部分が多い病気です。そのため、検査・診断には全身疾患・不定愁訴との鑑別を含めた顎関節症に対する十分な理解をもって、治療および処置は特に慎重に行います。診断の結果、適切と判断される診療科へご紹介し連携をとりながら治療していく場合もあります。
顎間ゴムを使わない / アンカースクリューを使う
上下顎臼歯の後方にアンカースクリューを埋入して矢印の方向に歯列を後方移動した。
動的矯正治療中、顎間ゴムはほとんど用いていない。
主訴:前歯の突出と凸凹を治したい。顎が痛い、以前から奥歯のかみ合わせが悪いためではないかと歯医者に言われていた。
上下顎に水平的な骨吸収が認められた。顎関節症状もあることから、非抜歯で治療を行うこととした。上下顎歯列後方に矯正用アンカースクリューを埋入してマルチブラケット装置を用いて歯列矯正を行った。顎間ゴムはほぼ使用していない。顎関節症状は軽減され、新たな骨吸収も認められなかった。動的治療期間 1年8か月、保定期間2年
費用は、85万円
補綴治療と矯正歯科治療
補綴治療(入れ歯、ブリッジ、インプラント等)と矯正歯科治療を適切に組み合わせることで補綴治療の治療結果が良くなります。補綴治療を行う病院と綿密に連携をとりながら円滑に治療をすすめていきます。
※ 成人の方、入れ歯を使われている方も矯正治療によってより良く咬み合わせを整えられることが多々あります。矯正治療は子供の時だけの治療ではありません。年齢であきらめず歯科治療も含めご相談ください。
主訴:前歯が割れて抜歯したが、治療した大学病院で、今のままでは前歯がぶつかり新しく歯を作っても壊れてしまうので歯列矯正をした方が良いと言われた。
下顎歯列後方に矯正用アンカースクリューを埋入してマルチブラケット装置を用いて歯列矯正を行った。顎間ゴムは使用していない。動的治療期間 1年3か月、保定期間2年
費用は、80万円
矯正治療に伴うリスクと副作用
装置が付いている治療中は、歯が磨きにくくなります。むし歯のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなる可能性があります。 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。(日本矯正歯科学会)
矯正治療の流れ
1.初診・相談
ご相談をさせていただく時間を十分にお取りするために、当院へ予約のご連絡をお願いいたします。
当日、まずお口などの状態を見させていただきます。この時、状況をより正確に把握しご説明するために写真・レントゲンを撮影させていただく場合もございます。お話をおうかがいし、矯正治療についての全体の流れや矯正装置および大まかな治療期間・費用をご説明いたします。また、その際、心配ごと、疑問、希望や要望などを教えていただければできる限りおこたえいたします。
2.精密検査
顔や口の写真撮影およびレントゲン写真撮影を行います。歯型を採取します。 さらに、顎機能検査(あごの動きや、筋肉のバランスを診査)を行う場合もございます(顎変形症の患者さんは必ず行います)。また、必要に応じて歯周ポケット測定や歯の汚れ検査、CT撮影(東大病院、東医歯大病院 別途予約)を行います。
3.診断
検査の結果など資料をもとに、現在の状態と治療後の予想される結果をお話します。また、患者さんやご家族のご要望もお聞きしながらもっとも適切な装置を選び、装置の使用時期・時間を決定し、予想される治療期間、治療にかかわる注意点などをご説明いたします。
4.動的治療(歯を動かしている間の治療)
毎回の治療は、症例、症状、治療段階によって大きく異なります。
(おおよそ月に一度、30分から1時間です)
5.保定(後戻りを防ぐ治療)
動的治療が終わって装置を撤去した直後から1~2年は、正しく整えられた歯並びが乱れやすい(後戻りを起こしやすい)時期です。それを防ぎ、歯並びの維持管理を行います。(年に3度程度の来院間隔です)
おおよそ2年間の管理の後、矯正治療は終了となりますが、その後も定期的な口の中のチェック(健診)や専門的クリーニングを希望される場合はお申し付けください。
矯正装置について
当院では厳選した矯正装置を揃えております。患者さんの「目立ちにくい」「痛くない」等の希望やニーズに応えられるものと思います。矯正装置は、写真のもの以外にも幾種類もあります。もっとも適したものを選びましょう。
マルチブラケット装置
表側矯正
歯の唇側面にブラケットを装着
(カラーは白色やクリアーを用意しています。)
裏側矯正(リンガルブラケット矯正)
歯の舌側面にブラケットを装着
(人から見えない、最も目立ちにくい装置です。)
可撤式矯正装置
マウスピース型矯正装置(インビザライン invisaline、クリアライナー 他)
透明な装置(ご自身で着脱するタイプ)
矯正用インプラント
今までの矯正治療では、歯を後方に移動させる場合には特にヘッドギアなどの顎外固定装置が使われてきました。しかし、治療を成功させるにはこの装置に対して患者さん自身が十分な時間使用する必要があり、患者さんの使用協力度が低い場合には正しく歯が動きません。
矯正用インプラントを用いた「インプラント矯正」は、小型のインプラントスクリューを固定源とすることで確実に必要な場所へ歯を移動させる治療法で効率的かつ短期間に歯を移動させることが可能です。
歯を抜くことなしに出っ歯や受け口、著しい凸凹が治るようになってきました。
矯正治療費
矯正歯科治療は顎変形症や口唇口蓋裂、一部の先天異常を有する方以外は健康保険が適用できない自由診療となっています。当院では以下の治療費を頂戴しています。
◇ 治療費
★初診相談料 3,000円 (まずはご相談ください! 適切な治療のための大事なステップです。)
★精密検査・診断料 50,000円
★顎機能検査 10,000円 (必要な場合に行う検査)
★矯正装置料
・部分矯正: 60,000 円 ~
・クリアーブラケットによる目立たない表側矯正: 700,000 円 ~
・裏側矯正(見えない矯正) : 片顎で150,000 円の追加となります。
・調節料・観察料 3,000円 ~ 5,000円 (矯正装置、治療内容によって異なります)
文京ながはま矯正歯科では、お子さんから矯正歯科管理(小児=学童期~成長終了=矯正完了まで、期間3~7年)を行った場合、矯正歯科治療費は総額で90万円ほどです。
成人(中学生以降、期間2年程度)の矯正歯科治療を受けられる患者さんの場合、一般的な症例での矯正歯科治療費は、おおよそ総額90万円ほどです。
部分矯正やこどもの簡単な矯正(一期治療)は、歯列不正の状態によりますが6万~40万円程度です。
(※消費税が別途かかります)
表側矯正(審美ブラケット使用)の場合、費用は90万円台、歯を動かす期間は、2年かかりませんでした。
最も目立たない裏側矯正は、工夫によって治療期間を短くし、かつ、デメリットである口の中の違和感を減らしてより快適に、そして費用総額を安く抑えることを考えています。
* 当院では相談時におおよその治療費の総額をお見積りします。
* 相談時や診断時に目安となる治療期間や治療回数を示します。
* 矯正費用は分割払いも可能です。
* 二度目以降のご相談、セカンドオピニオンの場合は上記の初診相談料とは異なります。
※セカンドオピニオンの依頼(ご紹介は除く)は、現在受け付けておりません。
◇ 治療費例
《 成人 : 前歯のでこぼこ、八重歯の場合 》
初診相談料 3,000円
精密検査・診断料 50,000円
矯正装置料 700,000円 (審美ブラケットによる目立たない矯正治療)
調節料・観察料 5,000円 x24回
歯を動かす治療2年+保定管理 : 矯正歯科管理期間は4年間として
検査と治療費の総額 873,000円 (税込 960,300円)
《 こども : 8歳 前歯のでこぼこ、出っ歯の場合 》
1期、2期が必要となる、よく見られる不正咬合のケース
初診相談料 3,000円
精密検査・診断料 50,000円 (審美ブラケットによる目立たない矯正治療)
矯正装置料 Ⅰ期 300,000円 (歯の萌出誘導、骨格の成長コントロール)
矯正装置料 Ⅱ期 400,000円 (咬み合わせの完成)
調節料・観察料 5,000円 x 30回
Ⅰ期約4年、Ⅱ期約1~2年+保定管理 : 矯正歯科管理期間は7年間として
検査と治療費総額 903,000円 (税込993,300円)
《 こども :12歳 前歯のでこぼこ 》
骨格に問題がなく、あごのバランスが良いと判断される場合
初診相談料 3,000円
精密検査・診断料 50,000円 (審美ブラケットによる目立たない矯正治療)
矯正装置料 Ⅰ期 300,000円 (歯並びを整える)
調節料・観察料 5,000円x12回
Ⅰ期約1年、保定管理 : 矯正歯科管理期間
矯正歯科治療費総額 413,000円 (税込454,300円)
矯正治療に健康保険が適用される症例
Ⅰ. 顎変形症
顎口腔機能診断に基づき外科手術が必要と判断された場合
Ⅱ. 口蓋裂や口唇裂、厚生労働大臣が定める先天異常疾患
- 唇顎口蓋裂
- ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む)
- 鎖骨頭蓋骨異形成症
- クルーゾン症候群
- トリチャーコリンズ症候群
- ピエールロバン症候群
- ダウン症候群
- ラッセルシルバー症候群
- ターナー症候群
- ベックウィズ・ヴィードマン症候群
- 尖頭合指症(アペール症候群)
- ロンベルグ症候群
- 先天性ミオパチー
- 顔面半側肥大症
- エリス・ヴァン・クレベルド症候群
- 軟骨形成不全症
- 外胚葉異形成症
- 神経線維腫症
- 基底細胞母斑症候群
- ヌーナン症候群
- マルファン症候群
- プラダーウィリー症候群
- 顔面裂
- 筋ジストロフィー
- 大理石骨病
- 色素失調症
- 口‐顔‐指症候群
- メービウス症候群
- カブキ症候群
- クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群
- ウイリアムズ症候群
- ビンダー症候群
- スティックラー症候群
- 小舌症
- 頭蓋骨癒合症
- 骨形成不全症
- 口笛顔貌症候群
- ルビンスタイン・ティビー症候群
- 常染色体欠失症候群
- ラーセン症候群
- 濃化異骨症
- 6歯以上の非症候性部分性無歯症
- チャージ症候群
- マーシャル症候群
- ポリエックス症候群(クラインフェルター症候群)
- リング18症候群
紹介・医療連携
先進医療を牽引する大学総合病院におりますと、医療は、技術・設備の進歩と専門分野の細分化によって、ますます複雑になってきていることを実感いたします。一方その恩恵として各専門家つまりスペシャリストが適切に連携することによって患者さんには、今まで以上に効果的で高度な医療を提供できるようになってきています。
以前から歯医者は、医者に比べて自前ですべての物事を完結させようとする傾向にあると言われます。しかし、これでは患者さんの複雑で困難な病気や多様化したニーズに完全に対応できるわけがありません。
当院では、他の医療機関(院長が信頼する、また連携のよく取れる医師・歯科医師がいる施設)と、必要に応じて密接に連携し、チームを組んで治療をすすめるべきであると考えます。
東京医科歯科大学歯学部附属病院
院長の出身校であり歯科・医科の先輩、同級、後輩が各専門分野の第一線におります。
東京大学医学部附属病院
院長が勤務していた大学の医学部附属病院で、特に口腔外科は難度の高い抜歯をはじめ顎変形症の手術などをお願いします。
東京医科大学病院
東京大学医学部附属病院の同じ現場で多く一緒に仕事をさせていただいた先輩が口腔外科の教授をされています。
その他、虫歯、歯周病、入れ歯、審美治療など都内、近県の信頼できる先生方にご協力をお願いいたします。
文京ながはま矯正歯科は本駒込駅、白山駅近くにある矯正歯科を専門に行うクリニックです。駒込駅、千駄木駅や西日暮里からも通院便利です。
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